上松町が森林浴・森林セラピーを展開している「赤沢自然休養林」は、樹齢300年を超える天然木曽ひのきを中心とした針葉樹林。面積は760ha、標高は1,080mを上回ります。
1969年、林野庁から国内第1期の自然休養林に指定され、翌1970年に開園。コロナ禍の中、2020年に開園から50年目を迎えました。
園内には複数の遊歩道が整備され、森林散策のほか水遊びや森林鉄道乗車などが楽しめます。散策コースの概要や森林鉄道、アクセスについては、下記サイトをご参照ください。
このページでは、森林浴・森林セラピーの観点から、赤沢自然休養林をご紹介いたします。
木曽の森林は平安時代より良材を産出する地として知られ、 時の権力者が直轄領として木曽を統治してきました。 しかし戦国時代末期から江戸時代初期にかけ、 江戸城下や名古屋城の建築ラッシュが起こると、 多くの森林資源が伐り尽くされてしまいます。 ・ 危機感を抱いた幕府尾張藩は、「木1本、首一つ」と恐れられた、 厳格な森林保護政策を打ち出し、木曽の森林再生に乗り出しました。 その際、実生から成長した森が、赤沢自然休養林の始まりです。 ・ 美しい天然林でありながら人々と密接に歩んだ林業史・森林文化は、 日本遺産木曽路の重要なファクターとなっています。
こんな生い立ちを持つ赤沢自然休養林は、天然林として育ちつつも、多くの人々の手により護られてきました。やがて国内でも有数の美林となり、林野庁のモデル的な事業が展開されます。
1982年、林野庁が「森林浴」を提唱。その年の秋に、初めて森林浴の全国大会が開催され、国内に向けて森林浴を普及させる取り組みが始まりました。
森林浴に適した散策コース
森林浴を体験する際、効果的な健康増進効果を得るためには、ご自身の目標によりコースを選ぶ必要があります。
具体的には、(1)メンタルヘルス(2)運動不足解消 の2つに大別できます。
(1)メンタルヘルスにおいては、激しい運動を伴う無理なメニューは逆効果です。森林浴において心の健康のためには自然との対話を大切にします。のんびりと緩やかな地形を歩き、渓流のせせらぎの音に耳を傾け、風の音や鳥の声に心を癒され…といった穏やかな滞在メニューが有効です。従いまして、オススメは傾斜の少ない「ふれあいの道+駒鳥コース」となります。
特に駒鳥コースのアスナロ橋〜さわら窪までの区間は、森林セラピー基地認定実験を実施した、園内でも特に平坦なコース。ふれあいの道から眺められる渓流の清らかな景観とともに、自然の優しさに触れられること請け合いです。
(2)運動不足解消を目指す場合、ご自身の体力に合わせてコースの標高差や距離を選ぶ必要があります。山岳でありながら赤沢自然休養林は穏やかな地形なので、登山のような長い上り坂は続きません。最大でも50〜60m程度の高低差になります。各コースは2〜3km前後の延長になり、大人の男性で1コース3000歩程度の運動量になります。
オススメは「向山コース、駒鳥コース+冷沢コース」。適度な高低差と、程よい距離を持ちます。午前、午後を使ってこれらのコースを歩き、+αの活動量があれば、1日1万歩の目標は意外と簡単に達成できてしまいます。森林特有の心地よい疲労感が、入浴と睡眠の質の向上を誘います。
森林セラピーの拠点となる施設が、赤沢セラピー体験館です。赤沢自然休養林の駐車場最奥にあり、森林ガイド団体「NPO木曽ひのきの森」のご案内、巡回医師や保健師・看護師など医療スタッフの健康相談を提供しています。
建物にはロビーと健康相談室を備えます。
「森のお医者さん健康相談」は木曜日の15:00から開催されますが、現在は新型コロナウィルスの影響で休止されています。
オストメイトトイレも備え、赤沢自然休養林で健康増進サービスを提供しています。